茨城県つくば市、特に「研究学園(Kenkyu-gakuen)」エリアは、ここ20年で劇的な変貌を遂げた街です。
整然とした区画整理地と新しい戸建て、タワーマンションが立ち並ぶこの街には、教育熱心な家庭が多く集まっています。
私自身、この研究学園エリアに20年間住み続け、街の発展と共に子育てをしてきた一住民として、このエリア特有の「教育熱」の凄まじさを肌で感じてきました。
イーアスつくばのフードコートでは、「あの子はどこの塾に通っているか」「竹園高校の倍率はどうなるか」といった話題が常に聞こえてきます。
その中で、常に議論の的になるのが「茨城県立牛久栄進高等学校(以下、牛久栄進)」です。
「竹園や土浦一高はちょっと厳しいけれど、しっかりとした進学校には行かせたい…」
そんな時に有力な候補として挙がるのが牛久栄進です。
しかし、ここで親子の頭を悩ませるのが、TXとバスを乗り継ぐ「片道約1時間の通学時間」です。
果たして、高校3年間の貴重な時間を、往復2時間の移動に費やす価値はあるのでしょうか?
本記事では、パンフレットに書かれているような表面的な情報ではなく、「研究学園から実際に通う」という視点に徹底的にこだわり、偏差値、進学実績、そして最も深刻な課題である「通学」の実際を、最新データ(2026年)に基づき、忖度なしで調査・解説します。
研究学園住民にとっての「牛久栄進」の立ち位置
なぜ今、牛久栄進なのか?
偏差値70を超える「土浦第一」や「竹園」は、当然ながら第一志望群です。
しかし、全員がそこに入れるわけではありません。
その直下に位置する「偏差値60台前半」のボリュームゾーンにおいて、牛久栄進は極めて重要なポジションを占めています。
| 項目 | データ | 備考 |
|---|---|---|
| 学校名 | 茨城県立牛久栄進高等学校 | ひたち野うしく駅から1.8km |
| 偏差値目安 | 63 | 県内公立校の上位20%に位置 |
| 募集定員 | 例年320名程度 | 倍率は1.2倍〜1.5倍で推移 |
| システム | 全日制・普通科(単位制) | 学年制ではない「単位制」が最大の特徴 |
「単位制」というシステムの本質
牛久栄進の最大の特徴は「単位制」です。これは、研究学園エリアの保護者が慣れ親しんだ「学年制」とは根本的に異なります。
- メリット:受験に不要な科目をカットし、私立文系などの対策に特化できる(予備校のようなスタイル)。
- デメリット:「空きコマ」が発生するため、自己管理できない生徒はサボってしまい、学力が停滞するリスクがある。
【検証】研究学園からの通学は「地獄」か?
ここが本記事の核心部です。
TX沿線の研究学園と、常磐線沿線の牛久栄進の間には、公共交通機関の乗り継ぎが悪い箇所が存在します。
地図で見る以上に、通学のハードルは高いのが現実です。
▼実際のルートを確認(研究学園駅〜牛久栄進)
googleで実際に確認してみましょう。
ルートA:公共交通機関(バス乗り継ぎ)の現実
所要時間:ドア・ツー・ドアで60分〜75分
- TX研究学園駅 → つくばセンター(電車3分 or 送迎15分)
- つくばセンターでバス待ち(10〜15分)
- 路線バスで「ひたち野うしく駅」へ(約30〜40分)
- 駅から学校まで徒歩(約20分)
ルートB:自転車通学(チャリ通)の限界
所要時間:片道40分〜60分(約10〜12km)
「年間500時間」の損失をどう考えるか
片道1時間、往復2時間の通学時間は、3年間で膨大な「機会損失」を生みます。
1日2時間 × 週5日 × 50週 ≒ 年間500時間
3年間で1500時間
徒歩で通える竹園高校の生徒がこの1500時間を勉強や睡眠に充てている間、牛久栄進に通う生徒は移動しています。
このハンディキャップをどう埋めるかが、大学入試の勝敗を分けます。
【進学実績】移動コストに見合う価値はあるか?
「偏差値63の高校に入れば、GMARCHや筑波大くらいは行けるだろう」
そう考えている保護者の方は、ここで一度認識をリセットする必要があります。
2025年の最新データを紐解くと、シビアな現実が見えてきます。
国公立大学への進学実績(合計94名)
| 大学名 | 合格者数(2025) | 分析 |
|---|---|---|
| 筑波大学 | 5名 | 「超・狭き門」。学年トップ層のみ到達可能。 |
| 茨城大学 | 38名 | 「王道」。牛久栄進のボリュームゾーン。 |
| 県立医療大 | 10名 | 医療系志向の家庭に人気。 |
研究学園エリアの親御さんが憧れる「筑波大学」への現役合格は5名に留まります。
これは、1学年約320名の中で、上位1.5%に入る必要があることを意味します。
「栄進に入れば筑波大に行ける」のではなく、「栄進でトップを走り続けたごく一部の生徒だけが筑波大に行ける」のです。
私立大学への進学実績
- GMARCH:明治22名、法政28名など健闘していますが、合格するには学年上位20〜30%が必要です。
- 日東駒専:日本大68名、東洋大97名。ここが最大のボリュームゾーンであり、普通に過ごしているとこのラインに着地します。
20年住民の本音「それでも選ぶ理由はあるか」
住民視点:偏差値表には載っていないリスク
私の周囲でも、栄進に進学した家庭の評価は二分されます。
「やっぱり遠かった」
「朝の送迎で親の負担が増え、夫婦喧嘩になった」
「塾に行く体力がない」
「制服が可愛くて娘が喜んでいる」
「竹園のような競争社会より、自由な校風が合っていた」
「単位制で好きな科目を伸ばせた」
通学のハンディキャップを克服する戦略
もし研究学園から牛久栄進に通うと決めるならば、以下の3つの戦略が必須となります。
- 隙間時間の徹底活用
バスの待ち時間や乗車時間を「単語帳」「リスニング」の時間として完全にルーチン化すること。
スマホでSNSを見る時間は命取りです。 - 「塾なし」または「オンライン」への切り替え
物理的に駅前の塾に通う体力と時間は残りません。
学校の課題を中心に据えるか、移動時間ゼロのオンライン学習環境を整える必要があります。 - 親の覚悟(送迎サポート)
悪天候時やテスト期間中など、親が送迎できる体制があるかは大きな分かれ目になります。
まとめ
後悔のない選択をするために
受験をするかどうかの最終決定権は、もちろん「本人の意思」にあります。
しかし、もし「どうしてもこの学校でなければならない」という強いこだわりがないのであれば、通学時間は短いほうが絶対に有利です。
毎日の積み重ねとなる時間は、決して無視できません。
ご家族としっかりと将来について話し合い、あなたにとって「最高の学校」を選び抜いてください。